|
片手にテナーサックスの入った楽器のケース、片手にボストンバッグの、見事な ？“お上りさんス
タイル“で、東京へ ！ 25才、今から55年前の10月初旬、まだまだ残暑のある蒸し暑い夕方、「ニューシャープス」が仕事中（演奏中）の、「日比谷公会堂」へ、 コロンビア専属歌手総出演のテレビ番組、「コロンビア大行進」の収録中で、終了後、予め「事前にアパートを見つけておく」と言う、マネージャーの話を、うのみにして、有楽町からアパートに直行するつもりが、その時マネージャー曰く「忙しくてまだアパートは探していない、それより、これから東京駅に行き、夜行列車に乗って、九州に行き、1週間、各地で「金井克子ミュージカルショー」（ミュージカル女優・歌手）の演奏だ！」 唖然としました、 元々、自分自身の演奏レベルは低く、名古屋のキャバレーやダンスホールで適当に演奏していた、いい 加減なもの、九州初日、川内（せんだい）での仕事が終わり、旅館で夕食の途中、ふと気が付くと、突然、目の前を、「ご飯の入った茶碗」が飛んで行く！ びっくり仰天、よく見ると、バンドのメンバーからバ ンドマスターに向かって投げた物、そのメンバーは、バンドマスターに向かって「表へ出ろ！」と、お膳を蹴飛ばして外へに出て行きました、 驚いて呆気に取られていると、10分後、バンドマスターとメンバーの二人とも親しげに、ニコニコ、笑顔で肩を組みながら帰って来ました … このメンバーの給料がアップしたようです（笑）、 翌日、演奏場所は、別府、時間が無いので旅館での朝食は無し、たくわん付きのおにぎり2個を持たされて、マイクロバスで、阿蘇(山)の外輪を廻って別府へ、着いたのが午後2時、この日のショー、午後の部は、開演時間に間に合わなかったので、お客のチケットを払い戻ししてキャンセル！ 夜間の部の演奏のみとなりました、（何とバカバカしい！） 東京に戻って、まだアパートを決めて無いので、マネージャー行きつけの四谷の旅館にしばらく滞在、、 3，4日経ち、朝、旅館のおかみ（女将）に怒鳴り込まれて「今日であなたの宿泊はお終い！これ以上泊まりたければ、今までの「つけ」（？十万円）を今すぐ支払ってほしい！」 「マネージャーの言動は、当てにならない」と判断したので、東京は初めてで、親戚も無ければ、知 り合いもいない、土地勘も無い自分は、バンドマスターにお願いするしか無かった、結果、 比較的安く、駅に近く、かつ、きれいな部屋のアパートを見つける事が出来ました、 その頃のの「武藤敏文とニューシャープス」の主な仕事は、立川、横田、座間、横須賀などの米軍（ア メリカ軍）基地の、オフィサースクラブ、シビリアンクラブのレストランでの演奏、 余談 … 演奏の休憩時間に、基地内で両替したドルで、初めてのコカ・コーラ、ピザ（ピッツア）を、 そのレストランの後ろで楽しんでいたところ、スペシャルショー始まり、何と、「カーメン・マクレー(ジ ャズヴォーカル）がピアノのふちを伝ってマイクの前まできて、よれよれの歌を歌い始めたのには、驚き ました、 キャンプの仕事が終わり、帰り道、バンドマスターの車が僕のアパートの近くを通るので乗せてもらい、 帰る途中、バンドマスターの愛人が必ず乘りこんで来て、バンドマスターが、「田辺ちゃん！演奏の間違 いが多すぎる、もっとしっかり！」と苦言を呈すると、その女が（僕の演奏を聴いた事もないのに）「そ うよそうよ！」と「あいづち」を打つ、文句を言っても収まらない、これには参りました! （バンドマス ターとその愛人は、僕が車を降りた後、どこに行くのか僕は知りません((笑)) |